腎臓の機能低下を判断するためには、いくつかの検査が行われます。これらの検査結果と、他の要因を総合的に判断することで、腎臓の状態を評価します。
腎臓の機能低下を判断
腎臓の機能低下を判断するためには、いくつかの検査とチェックリストがあります。以下に主要な検査と判断基準を紹介します。
1. 血液検査
クレアチニン(Cr)
クレアチニンは筋肉の代謝産物で、腎臓によって排出されます。血液中のクレアチニン濃度が高い場合、腎機能の低下が疑われます。
血中尿素窒素(BUN)
BUNは、体内のたんぱく質が分解される際に生成される窒素化合物です。腎機能が低下すると、BUNの値が上昇します。
eGFR (推算糸球体濾過量)
腎臓が血液をろ過する能力を示す指標で、血液検査の結果から計算される値で、腎臓の濾過機能を数値化します。
- 90mL/分/1.73m²以上:正常
- 60-89mL/分/1.73m²:軽度から中等度の腎機能低下
- 30-59mL/分/1.73m²:中等度から重度の腎機能低下
- 15-29mL/分/1.73m²:重度の腎機能低下
- 15mL/分/1.73m²未満:腎不全
2. 尿検査
尿蛋白(タンパク尿)
腎臓が正常に機能している場合、尿中にはほとんど蛋白が含まれません。尿中に蛋白が検出される場合、腎障害が疑われます。赤血球や白血球などの細胞成分を調べ、腎臓の炎症や感染の有無を評価します。
血尿
腎臓や尿路に炎症や損傷がある可能性を示します。
尿沈渣検査
赤血球や白血球などの細胞成分を調べ、腎臓の炎症や感染の有無を評価します。
3. 画像診断
腎エコー(超音波検査)
腎臓のサイズや形状を確認し、腎臓の異常を検出するために行われます。
CTスキャンやMRI
腎臓の詳細な画像を取得し、腫瘍や結石などの異常を検出します。
4. チェックリスト
腎機能低下の初期症状は明確でないことが多いため、以下のような症状や状況がある場合は医師に相談することが重要です。
- 疲労感:通常よりも疲れやすい。
- むくみ:顔や手足がむくむ。
- 尿の変化:尿の量や色、頻度に変化がある。
- 食欲不振:食欲が低下し、体重が減少する。
- 高血圧:血圧が高くなる。
- 筋肉のけいれん:特に夜間に足がけいれんする。
- かゆみ:特に皮膚のかゆみが強くなる。
その他の要因
- 年齢: 高齢者では、腎機能が低下していることが多く見られます。
- 性別: 男性よりも女性の方が、腎機能がやや低い傾向があります。
- 合併症: 糖尿病、高血圧などの合併症は、腎機能の低下を加速させることがあります。
- 症状: むくみ、倦怠感、尿量の減少など、腎臓の機能低下を疑わせる症状が出現することもあります。
まとめ
腎臓の機能低下を早期に発見するためには、定期的な血液検査や尿検査が重要です。また、上記のチェックリストに該当する症状がある場合は、早めに医師に相談し、適切な検査を受けることが推奨されます。腎臓の健康を維持するためには、生活習慣の改善と定期的な健康チェックが不可欠です。
より詳しい情報については、以下のサイトもご参照ください。
一般社団法人 全国腎臓病協議会(全腎協)https://www.zjk.or.jp/